まずは手始めに、

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地獄変 地獄変

どちらかというと
左の装丁の方が好きです。
 小学生だったか中学生だった頃、テレビで非常に怖い映画をやっていました。途中から見たのですが、火のついた牛車の中で若い女性がもがき苦しみ、その前で獣のような男が恐ろしい形相でそれを見つめているのです。やがて猛火は女性を包み込み……。強烈なインパクトでした。
最後「原作:芥川龍之介 音楽:芥川也寸志」とテロップが出ていたので、恐らく『地獄変』の映画だったのだと思います。

「見たものしか描けない」という当代随一の絵師・良秀。“地獄変の屏風”を描くよう命じた堀川の大殿様に、「あらましは出来上りましたが、唯一つ、今以て私には描けぬ所がございまする」と言ったのは、牛車に乗った女が猛火に苦しむ姿でありました。そこで大殿がが用意したものは……。

 芸術至上主義の是非云々というよりは、「地獄」とは一体何か、大変考えさせられる作品でした。最後、「如何に一芸一能に秀でやうとも、人として五常を弁(わきま)へねば、地獄に堕ちる外はない」とよく仰っていた横川(よがわ)の僧都様が、完成した地獄絵図を実際に見られて「出かし居つた」と言われたのが意味深でした。私見ですが、地獄とは各人の心が作り出すもので、それを如実に表した絵図だったのではないか、と思わずにおれません。

 いずれにしても、芥川龍之介のえぐりだす、人間の心の奥底に潜む鬼の心に戦慄をおぼえずにおれません。有名な『蜘蛛の糸』も然りです。そんな芥川のせめてもの救いは『杜子春』に見られる人間性だったのでしょうか。

 ちなみに、私が読んだのは青空文庫からでした。DLして通勤電車の中、携帯で読みました……
(^^;ゞ